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―北海道のシーニックバイウェイに関しアドバイスをいただくため、アメリカからおいでいただきました。北海道のモデルルートなどを見て回られ、どのような感想をもちましたか? |
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北海道にはシーニックバイウェイのコンセプトにマッチする材料がたくさんあり、いいストーリーができる可能性があります。現段階で完結しているプロジェクトも見ました。たとえば、美しい風景が見られるスペースの整備や展望台などです。富良野では倉庫を改造して情報提供の拠点にしており、素晴らしいと思います。また始まりのステップでは、たとえば恵庭の地域の人々は、ボランティアでコミュニティガーデンをつくっています。熱心に花の手入れをしている年配の方々を見て感動しました。スタートとしては大変いい状況です。 |
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―リソースセンターが担うべき役割についてお教えください。 |
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我々のセンターが担っているのは、一つはシーニックバイウェイに関わっているNPO、NGOなど各組織へのアシストです。もう一つはビジターの方々にとっていい経験ができる環境をつくること。この二つが主要な役割です。
アメリカのナショナルシーニックバイウェイプログラムは、1992年に議会によって承認されスタートしました。このプログラムはFHWA(米国連邦道路庁)によってマーケティング、資金集め、国立シーニックバイウェイとしての認定、などの事業がすすめられました。ところが6年を経過した段階で、関わっている個々の組織にとって技術的なトレーニングや教育が必要であることに気がつき、1998年にプログラムの中でリソースセンターをつくることが加えられ、我々が引き受けたのです。
その後2004年までの間でFHWAとの役割分担は明確になり、うまく運営されています。センターのスタッフは専門性をもち、96のナショナルシーニックバイウェイと500の州のバイウェイの、教育、トレーニング、資料などの提供、また個々の組織の間でどんなことをしたらよいか相談にのり、指導を行っています。FHWAの方はマーケティング、資金集めなど、プログラム自体の運営をしています。 |
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―リソースセンターとして苦労、あるいはまだクリアできてないことはありますか? |
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一番大きな問題は、アメリカにはたくさんのバイウェイと個々の組織があるのに対して、我々のようなスタッフが少ないことです。そのため共通のトレーニングマニュアルを作ることが必要になりました。各組織に対してどんな教育カリキュラムがよいか、何が必要か、すべてを組み込んだものにし、それを利用することによって向上できるようにしようと考えたのです。しかし問題は新しい課題がどんどん出てくることです。次々と出てくる質問に対し答えられる資料を作らなければなりませんが、間に合いません。現在、それに対応できるコンサルタントや専門家を民間から探して、一つ一つの新しい課題に対応できるトレーニングマニュアルを、それぞれに作ってもらう体制づくりをすすめています。
我々のセンターのスタッフはフルタイムが7人、パートタイムが1人、FHWAのプログラムメンバーはフルタイム5人とユタ大学の契約パートタイム2人です。決して十分な人数ではありません。 |
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―北海道のシーニックバイウェイは来年度本格的にスタートする予定です。アドバイスをお願いします。 |
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リソースセンターができることはたくさんあります。まず、地域のバイウェイのプランニングに対する支援。我々は「コリドー・マネジメント・プログラム」という補足的なワークショップを各地域で開いています。また、ビジターに対するサーベイを行うこと。どういう目的で来たか、何を見たか、見たかったのかなどを質問し答えを分析します。同時にビジターには、手にとって見ることのできる地図、パンフレット、説明書などを提供しビジターが地域のバイウェイのことをよくわかるようにしてあげることです。
我々のセンターはミネソタ州のダルースというまちにあります。首都ミネアポリスの玄関口に位置する人口9万人ほどのまちですが、年間100万人以上のビジターが来ます。ウォーターフロント、港、遊歩道、スキー場があり、北海道の小樽のよう。住民はリラックスしています。北海道の人もそういう感じですね。それが重要なのです。ビジターに対し地域の人たちは歓迎の準備ができているか、これから増える観光客に対しリソースセンターと各組織が、いっしょにそれを問いかけていくべきです。北海道は、ベリーハッピープレイスですよ! |