バイウェイの活動は、多くの友人とともに進む旅
講演(1)「シーニックバイウェイプログラムとアメリカバイウェイリソースセンターについて」
9月8日札幌グランドホテル、出席者18名(北海道開発局、道内建設コンサルタントなど) |
アメリカに州際道路(Interstates
Highway)が整備されはじめると、旅行者は都市間を中心に行きかうようになり、したがって、旅行者は都市間にある素晴らしい資源を見落としてしまうこととなった。シーニックバイウェイプログラムによって、旅に新しいアイデンティティを与えることができた。
シーニックバイウェイプログラムは、21のオールアメリカンロードと75のナショナルシーニックバイウェイが指定されており、総延長が2万5000マイル(約4万キロメートル)となっている。TEA-21では、連邦政府から6年間で1600のプロジェクトに対して、2億2000万ドルが助成金として配布された。このプログラムは、国立公園や国有林、地方部の路線が指定されており、都市部のための施策ではなく、北海道のような地方部のためのプログラムとなっている。シーニックバイウェイに指定されるには、ユニークで、かけがえがなく、明白にその地域の特徴を示している価値ある資源を有している必要がある。
リソースセンターは、このような連邦政府指定のシーニックバイウェイについて地元のバイウェイ組織と連携し、支援することが役割となっている。現在、8名のスタッフで96のルートを支援している。主に、情報や専門知識の提供、人的ネットワークの紹介を行っている。シーニックバイウェイに携わるみなさんに、「道路を利用するとき同様、皆さんのバイウェイ活動は一人旅ではありません。バイウェイの旅は、多くの友人とともに進んでいく」ことを忘れないよう呼びかけている。 |
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重要なポイントのひとつは、両端にあるバイウェイの入り口
講演(2)「シーニックバイウェイデザインガイドについて」
9月10日(社)北海道開発技術センター、出席者15名(北海道開発局、道内建設コンサルタントなど) |
シーニックバイウェイでまず考えるべきことは、そのバイウェイの特徴を表す視覚的効果についてである。特に、沿道施設はバイウェイに彩を添えるために、デザインは細やかに配慮されなければならない。これはロゴ、色、素材、標識、グラフィックスタイルで表現される。何をするにしても、利用者がその道路の印象をより一層、明確に持つよう、一貫したアイデンティティで統一することが視覚的な印象を与える。したがって、バイウェイ周辺の施設や道路施設を設計段階で一貫性を保つことは大変重要である。どのバイウェイにもその地域に合ったテーマが必要であり、他のバイウェイと一線を画し、自らのアイデンティティを示す固有の要素を備えていなくてはならない。
テーマについての合意を得ることが難しいが、テーマはバイウェイとなるためにとても重要である。特に、バイウェイで最も重要なポイントのひとつが、両端にあるバイウェイの入り口で、訪れた人たちは、ここで特別なバイウェイに来たと教えられる。この第一印象が最後まで印象として強く焼きつけられる。帰宅後、友人や隣人にそこで充実した体験ができたと話をするか、行くだけの値打ちがないと伝えるか、ここが分かれ目となる。第一印象で失敗すると、期待通りの印象を与えることができなくなる。
研究データによると、特別な場所、特別なバイウェイに来たという第一印象は、5秒以内に決まってしまう。したがって、車で通過する最初の5秒で訪問者の心を捉えない限り、彼らの期待が満たされないまま旅行が終わってしまいかねない。一番大切なことは、利用者が価値ある旅行体験をすることであり、訪れた人たちが他の人にも見に行くといいよと勧めたくなる前向きな気持ちとともに帰宅することである。プランナーは自分たちが自己満足するものではなく、利用者のためのデザインを考えることが必要である。 |
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その地域ならではの物語を伝え、体験を生み出す
講演(3)「インタープリテーションについて」
9月11日恵庭市民会館、出席者27名(恵庭シーニックプロジェクト、千歳青年会議所、支笏湖まちづくり機構、恵庭市役所など) |
それぞれのバイウェイにとって最も重要なポイントは、訪れた人に、地元の人が伝えることのできる、その地域ならではの物語があることである。バイウェイを訪れる人々は、その地域でこれまでどんなことがあったのかを学び、その地域を特別な場所にしている興味深いものを見たいと思っている。友人や親戚が遠くから訪ねて来たとき、「どんな話を聞かせ、どこへ案内してあげますか。見せたいと思う特別なところはどこでしょう。どんな特別な場所に案内したいですか。皆さんの住んでいる地域の興味深いところとはどこですか」。これこそが、バイウェイが取り組むべき課題であり、これがインタープリテーションである。これを伝えるチャンスは一度だけであり、来てくれた時に、また
訪れたくなるような、あるいは、特別な場所だと人に勧めたくなるような物語を伝えることが必要である。訪れた人が記憶するのは聞いたことの10パーセント、読んだことは30パーセント、見たことは50パーセントを覚えている。そして、実際に行ったことは90パーセントを覚えている。このように、インタープリテーションは、ただ伝えるだけでなく、体験も生み出すものである。アメリカでは、先住民の壁画のレプリカを旅行者に触れさせたり、子ども達と一緒にパンを焼いたり、アートを作ったりということもインタープリテーションのひとつである。 |
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目先の活動に追われて見失いがちなこと…
講演(4)「自己評価プログラムについて」
9月12日ニセコ東急ゴルフコース会議室、出席者10名(WAO、ニセコ国際の会など) |
ABRCがバイウェイを訪れているうちに、バイウェイそれぞれに大きな較差があることに気がつき、このプログラムが開発された。これによって、バイウェイ組織などは自己評価を行うことで自分たちの状況を把握し、ABRCに対して進行状況の報告レポートとすることができる。さらに、ABRCが現状把握や将来まで見通しを詳細に検討した上、組織の現状を示すことができる。その質問は以下の9つとなっており、これらは、ごく基礎的な質問であるが、目先の活動に追われて見失いがちである。
【自己評価プログラムの9つの質問】
- あなた方はバイウェイ計画を持っていますか?
- あなた方のバイウェイには誰が訪れますか?
- 旅行者は、バイウェイを見つけることができますか?
- あなた方は、旅行客を迎えいれる準備ができていますか?
- 旅行者は、バイウェイストーリーについて学ぶ(知る)ことができますか?
- バイウェイの地域の固有特性をどうやって守り高めますか?
- あなた方は、どうやってバイウェイを宣伝し、誘致していますか?
- あなた方は、どうやってバイウェイに必要な運営活動資金を捻出しますか?
- 誰がバイウェイを管理運営しますか?
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