北海道開発技術センター

【decマンスリー Scenicbyway HOKKAIDO】 Monthly Topic
(2005.1)
動き出すシーニックバイウェイ北海道
「シーニックバイウェイ北海道」制度が、いよいよ今年、本格的にスタートします。「美しい景観づくり」、「活力ある地域づくり」、「魅力ある観光空間づくり」をテーマとし、住民と行政が連携して地域の景観資源などの保全・改善にとり組みます。
現在(平成16年11月中旬)までにまとめられている同制度素案をもとに、地域における活用や個々の役割を考え、北海道の未来を展望します。

What's Scenicbyway ?
英語で「景色のよい」(scenic)「わき道」(byway)の意。
scenicには「舞台の」、「劇的な」、「いきいきとした」という意味もある。発祥地アメリカでは、沿道景観を楽しむことはもちろん、旅の途中で出合う街、自然、歴史などのふれあいが大切にされており、シーニックバイウェイ制度の下、地域住民が主体となって、景観や自然環境の保全、人材育成、体験メニューの創出などにとり組んでいる。
bywayには「ただ通り過ぎるだけでなく、寄り道しながら旅をのんびり楽しむ」意が込められており、アメリカでは幹線道路がシーニックバイウェイに指定されている例もある。
■全国的な課題への、先駆的なとり組みとして




2つのモデルルートでは、植栽、清掃、自然体験ツアー、勉強会、フォーラム開催、アンケート調査など多種多彩な活動が行われました。


「美しい景観づくり」、「活力ある地域づくり」、「魅力ある観光空間づくり」という3つのテーマは、全国的な課題でもあります。昨年には、景観づくりのため「景観緑三法」が制定され景観への配慮や規制が明確化されたのをはじめ、各地でNPOや住民等による地域づくりが活発化しているなど、さまざまなかたちでとり組みが行われています。
こうした中で北の大地・北海道は、豊富な自然や農業景観、人的・物的資源を総合的に活用し、これらの課題に向けて先駆的にとり組みを展開することとなりました。それが「シーニックバイウェイ北海道」制度です。地域住民・地方公共団体・国の関係機関が連携して沿道景観の保全、改善等にとり組むことにより、北海道全域に地域が織り成す美しい北の旅物語を形成し、同時に地域が誇りと活力をもつために、息長い持続可能な仕組みとして動き出そうとしています。

■地域における雇用拡大などが期待されます
シーニックバイウェイ北海道が活発に推進されることにより、次のような効果が期待されます。
☆景観をはじめとする魅力ある地域資源の発見
☆地域への愛着・誇りの醸成
☆旅行者に対するホスピタリティ(好ましいもてなし)の向上
☆良好な景観の形成
☆旅の快適性の向上、ストレスの少ないツーリング環境の形成
☆地域ブランドの形成
☆交流人口の拡大
☆観光関連産業の振興
☆地域における雇用の拡大
■心を一つにして地域を演出しよう
同制度は昨年までおよそ2年にわたり、「北海道におけるシーニックバイウェイ制度導入モデル検討委員会」(委員長/石田東生筑波大学教授)が中心となり検討が重ねられてきました。具体的に2つのモデルルート(千歳〜ニセコ、旭川〜占冠)が選定され、ルート沿線の住民団体(38団体)による活動実践を主軸に、いかに北海道らしい風土、文化、人の姿を反映した制度として組み立てるか、現場の状況を重視しつつすすめられてきました。
38の団体が実践した内容は、花植え、景観フォーラム、看板の撤去、自然体験ツアー、清掃ボランティア、子供たちと共に活動し地域への心を育てる、外国人への情報発信、地域特産品フェア、エコミュージアム、川の再生、乗馬などなど多種多彩。各団体が有する活動歴もさまざまで、この機会をいかして組織され活動を始めた団体もあります。また当該自治体は必要に応じて用具や資材の支給、拠点や人材の提供、道路や駐車場整備などのかたちで支援し、共にすすめられました。一方、北海道開発局は景観を阻害する要因であるとされる矢羽を実験的に撤去したほか、各種標識、防雪柵、沿道景観の調査などをすすめ、動きに拍車をかけています。
いずれも熱心に展開され課題の洗い出しを行うと同時に、団体同士の交流や情報交換、連携、識者との意見交換、一般市民を交えたフォーラムなどをとおし、今後に向けての方針が明らかにされてきました。委員会ではこれらを踏まえて昨年11月制度素案をまとめ、さらに一般からの意見募集をインターネット等で行い(11月中旬で締め切られました)、寄せられた意見を反映させて最終案を提出することとしています。
中で一番の課題は、各地域また北海道全体としてどう意識の統一をはかるかである、との指摘もあります。住民個々や地域団体の力、そして総合力としての行政が、心を一つにして我が地域を演出し、美しく活力に満ちた北海道を創出していくことがシーニックバイウェイ北海道成功のカギとなります。
■新しいルートの公募が始まります

本年初頭に、新しいシーニックバイウェイルートの公募が予定されています。公募からルート指定、活動開始までの流れは、素案の段階でおおよそ次のようになっています。

  1. 公募
    「シーニックバイウェイ北海道推進協議会」(全道的な民間団体、北海道、国の関係行政機関等により構成)がルート指定の提案を募集します。
  2. 提案
    地域の活動団体が集まって構成する「ルート運営代表者会議」が、ルートの指定を提案します。この際、活動プログラムなどを明示する「ルート運営活動計画」を策定し、さらに関係市町村長の意見を添えて、応募します。
  3. 審査
    「シーニックバイウェイ北海道ルート審査委員会」(有識者により構成)が、提出された計画を審査し、推進協議会に対して指定すべきルートを推薦します。
  4. 指定
    推進協議会はルートの指定、公表を行います。(ゴールデンウィークの前に予定されています。)
  5. 活動実施
    指定をうけたルートの活動団体は、個別および連携した活動を実施。また当該市町村および国の関係行政機関は「ルート運営行政連絡会議」を設置し、それぞれの立場から連携してとり組みを展開します。
  6. フィードバック
    代表者会議と行政連絡会議はそれぞれの活動状況を定期的に推進協議会に報告する等、各組織は役割に応じてフィードバックを行い、推進していきます。

詳しくは、国土交通省 北海道局ホームページ

「北海道におけるシーニックバイウェイ制度導入モデル検討委員会」
http://www.mlit.go.jp/hkb/

シーニックバイウェイ北海道のホームページ
http://www.scenicbyway.jp/


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