technical data
また、野生動物に係る知見として、動物も人間と同様に音声コミュニケーションを行っていることが知られており、シカについても同様と考えられます。13種類の音声があるとの報告もあり、このような知見を踏まえて、シカの警戒声(仲間に危険を知らせる声)を活用した被害対策についての研究を行いました。
当研究では、警戒声あるいは警戒声と他の動物の声を組み合わせた音声をシカに聞かせたことにより、行動の変化を確認しました。
その結果、シカが動きを止め、周囲を注視するような行動をとった後、逃走することが多く確認され、特に犬の声と組み合わせた音声で効果が高いことがわかりました。
なお、本研究は、公益財団法人鉄道総合技術研究所との共同研究内容を含んだものになります。
(図1)エゾシカの警戒声(スペクトログラム)
(図2)シカの警戒声とイヌの鳴き声(スペクトログラム)
(図3)シカ目撃回数の削減効果(特開2018-196360の図面より)
担当者
地域政策研究所
上席研究員:佐藤真人
主任研究員:鹿野たか嶺
冬期の北海道では吹雪による交通障害が多く発生します。国道の通行止めの原因で最も多いのは、吹雪や地吹雪に起因するものとなっています。吹雪による道路障害は、道路を横切る吹雪によって前方が見えなくなる視程障害と、横切った吹雪が道路上にたまって走行ができなくなる吹きだまり障害に分類されます。吹雪による道路障害の発生状況を把握する上では、道路を横切っている吹雪の状態を把握することが必要となります。
北海道開発技術センターでは、北海道大学と共同で調査、研究を行い、「走行支援システム及び走行支援方法」の特許を取得しました。この走行支援システムでは、道路上を撮影しているカメラの静止画像に対して画像処理を行い、パワースペクトルの合計値である視認性指標を算出します。吹雪による視界不良時は、画像のコントラストが小さくなります。画像のコントラストが小さいと、周波数強度が小さくなり、パワースペクトルの合計値も小さくなることから、視認性指標も小さくなります。この視認性指標に基づいて、ランク別の視程障害度を算出し、文字・画像・音声・シンボル等で情報提供を行います。
(図1)走行支援システムと情報提供イメージ
(図2)視界不良時の視界良好時のパワースペクトル値
担当者
地域政策研究所
次 長:永田泰浩
参 事:金田安弘
研究員:大橋一仁